能登半島地震のため、相続放棄の期限を延長
- 真本 就平
- 2024年1月26日
- 読了時間: 3分
令和6年の正月に発生した能登半島地震については、
様々な報道に触れるたびに、心を痛めるとともに、
お亡くなりになった方や被災された方々にお悔みとお見舞いを申し上げます。
この地震と相続に関わる情報がありますので、このブログで紹介します。
それが、災害があった地域での相続放棄の期限の延長です。
まず、特定非常災害特別措置法に基づき、
令和6年能登半島地震が大規模な非常災害として指定されました。
そして、行政の手続きのうち、指定されたものについて、
法定の期限を一括で延長できる仕組みになっています。
内閣府が画像のとおりホームページで紹介しており、
相続の放棄も1つの項目に挙がっています。

一定の地域に住む方の自動車の運転免許の有効期間が
令和6年6月末まで延長されるのもこの1つで、
マスコミの報道で記憶されている方もいらっしゃるでしょう。
相続の放棄については、相続を知ってから原則3カ月以内に
家庭裁判所へ申述の手続きが必要であるところ、
一定の場合には、令和6年9月30日まで期限が延長されます。
家庭裁判所へ申し立てなければならない期間のことを「熟慮期間」と呼びます。
この熟慮期間が延長される対象になるのは、
令和6年1月1日時点に次の47市町村に住所があった相続人で、
熟慮期間が令和6年1月1日以降に終わる方になります。
47市町村とは、石川県・富山県・新潟県・福井県のうち、
今回「災害救助法」が適用された区域になります。
放棄のほか、「限定承認」の期限延長も同様に扱われますが、
件数がとても少ないので、この記事では説明を省略します。
以上のことは、法務省のホームページで説明されており、
画像はその一部になります。

相続の放棄は、亡くなった方が財産よりも債務を多く残していた場合、
債務を引き継がず、弁済などの義務を負わずに済むことを望むときに、
財産も相続できなくなりますが、よく利用される制度です。
令和5年10月以降に相続が起こった場合や、
これから令和6年前半に起こる相続でも、
災害への対応を優先して、相続のことを後回しにできます。
もっとも、災害とは関係なしに、遺産や債務を調べるのに時間がかかり、
放棄を判断するのに3カ月では不十分なことも起こります。
そのときには、もともと存在する熟慮期間の「伸長」制度を利用します。
3カ月の熟慮期間が終わる前に家庭裁判所へ申し立てて、
延長を認めてもらえれば、判断するのに余裕が生まれます。
能登半島地震の特例では、「伸長」を申し立てる期限も同じく延長されます。
令和6年9月30日までに放棄するか判断できないときは、
この日までに熟慮期間を延長する申述を家庭裁判所に行うことになります。
注意しなければならないのは、亡くなった方が被災地に住んでいたり、
遺産が被災地に存在するだけでは、この特例の対象になりません。
相続人自身が災害救助法の対象区域に住んでいたことが要件になります。
また、相続人の中に他の地域に住んでいる方がいる場合、
その人は延長の対象になりませんので、
対象区域に住む相続人だけが相続放棄を待つことができる状態になります。
なお、放棄や伸長の手続きを業務で代理できるのは、司法書士と弁護士になります。