独身者だけでなく、ほぼ全世代が負担する ~子ども・子育て支援金~
- 真本 就平

- 4月13日
- 読了時間: 5分
更新日:4月15日
子育て支援のための負担増加が、令和8年4月に始まりましたが、
これが「独身税」ではないかと、ちまたで噂されています。
もっとも、実際には、独身者に対する税金とは違う性質であるため、
この仕組みをおおまかに紹介しようと思います。
この仕組みの名称は「子ども・子育て支援金」で、
独身者にも子どもがいる人にも、若い世代にも高齢者にも、
社会保険のうち医療保険において、広く少しずつ負担を求めるものです。
国会での法律成立は、令和6年のことでした。
令和5年に発足した「こども家庭庁」がこの制度について
ホームページで説明しています。 → リンク
次の画像は、そのホームページに掲載されている概要です。

負担の内容については、どの医療保険に加入しているかにより異なります。
会社や企業に雇われている人は、勤め先の下で、
被用者保険とも言われる健康保険に加入することになり、
中小企業だと「協会けんぽ」への加入が多く、
大企業では「健康保険組合」に加入していることが多いでしょう。
令和8年度における負担については、政府の推計では、
労働者一人当たりの平均的な月額負担は、約550円と示されています。
具体的な支援金の金額については、
ほぼ月給に相当する「標準報酬月額」及び賞与に相当する「標準賞与額」に
全国一律で0.23%を掛け算して出されますが、
基本的にこの金額の半分は、勤め先が負担するので、
残り半分がこれまでの健康保険料とともに、給与や賞与から天引きされます。
令和8年4月分の保険料から対象で、
月給ならば通常、今年5月に天引きが始まります。
一方、自営業者や退職者は、市区町村が運営する「国民健康保険」に加入し、
国民健康保険料と合わせて、支援金を支払うことになります。
支援金の算定方法は、それぞれの市区町村が定める条例に基づき、
世帯や個人の所得などに応じて決定されます。
具体的な支払い方法も、市区町村ごとに異なります。
こちらの令和8年度における負担について、政府の推計では、
一世帯当たりの平均的な月額負担は、約300円と示されています。
京都市では、国民健康保険料の子ども・子育て支援分として、
年間で次の合計額になり、令和8年6月に支払いが始まります。
・平等割 1世帯 600円
・均等割 1人 1,110円 (18歳以上は60円加算)
・所得割 一定額控除後の所得 × 0.28%
* 最高限度額は3万円。低所得者に対する軽減措置あり。
また、75歳以上の人は、「後期高齢者医療保険」に加入し、
やはり後期高齢者医療保険料と合わせて、支援金を支払うことになります。
この運営主体は、都道府県ごとの後期高齢者医療広域連合であり、
各市区町村が窓口になっています。
支援金の算定方法は、各後期高齢者医療広域連合が定める条例に基づき、
個人の所得などに応じて決定されます。
具体的な支払い方法も、後期高齢者医療広域連合ごとに異なります。
こちらの令和8年度における負担について、政府の推計では、
一人当たりの平均的な月額負担は、約200円と示されています。
京都府後期高齢者医療広域連合では、保険料の子ども分として、
年間で次の合計額になり、早い人で令和8年4月に支払いが始まります。
・均等割額 1人 1,350円
・所得割額 一定額控除後の所得 × 0.25%
* 上限額は21,000円。低所得者に対する軽減措置あり。
では、医療保険を通して集められた支援金は、どう使われるのでしょうか。
文字通り少子化対策のための財源となり、次の施策に充てられます。
・児童手当の拡充:所得制限の撤廃や高校生への延長など
・こども誰でも通園制度:0歳6か月から満3歳まで保育所など利用可能
・妊婦のための支援給付:伴走型相談支援と合わせ、10万円相当を給付
・雇用保険の出生後休業支援給付:給与の手取りの10割相当を確保
・雇用保険の育児時短就業給付:時短勤務中の賃金の10%を支給
・育児期間中の国民年金保険料免除(令和8年10月から)
以上から、支援金の恩恵を受けるのは、妊婦を含めた子育て中の世帯で、
世の中全体が子育て世帯を支援する仕組みだと評価できます。
社会保険料がその保険に関する給付に使われるのでなく、
政府の一般的な様々な施策に当てられるのは珍しいと考えます。
さて、法律が成立した当時、支援金導入に伴う実質的な負担は生じない
と説明されました。これは、社会保障の歳出改革などを行うことで、
支援金による負担は相殺されることが理由になっています。
もっとも、負担の増減は国全体での試算であり、
個々の社会保険の状況、さらには、個々人の所得などの状態によって、
負担額が増えないとは必ずしも言い切れません。
また、令和9年度と10年度には、
支援金がそれぞれ段階的に引き上げられる予定で、
政府の試算ですが、平均的な月額負担は、次のように見込まれています。
9年度 10年度
・被用者保険 (労働者一人当たり) 600円 800円
・国民健康保険 (一世帯当たり) 450円 550円
・後期高齢者医療 (一人当たり) 250円 350円
したがって、今年の春だけでなく、来年も再来年も、
各種医療保険の保険料が増えることになっても、おかしくはありません。