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NISAの株式や投資信託を相続 ~相続後の課税の取扱いに注意~

執筆者の写真: 真本 就平
真本 就平
3 日前
読了時間: 5分

 個人の資産運用について、株式や投資信託を利用することは多いでしょうが、

投資家とは異なり、運用に回す資産が多額でないため、

運用からの利益が非課税になる「NISA」(ニーサ)の制度を

使う方は増えている状況にあります。

 このNISAを利用していた方が亡くなられた後、

どのように手続きを進めるのか、通常の株式や投資信託とは違うのかなど、

残された家族の方がとまどわれることがあるかもしれません。

 そこで、NISAの株式や投資信託に関する相続手続きや

注意点に触れたいと思います。



 まず、NISAとは、「少額投資非課税制度」の日本での愛称です。

 この制度を利用するには、証券会社や銀行などの金融機関に

1カ所限定でNISA口座を開設することが必要になり、

この口座に株式や投資信託を預け入れます。

 株式や投資信託から得られる利益には、売却益と配当がありますが、

NISA口座に預けていると、所得税と住民税が非課税になります。

 なお、株式の配当金は、株式数比例配分方式を選択しておく必要があります。


 現在の制度は令和6年1月に始まっており、

以前に比べて、拡充と恒久化がなされました。

 「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の2種類があり、

年間投資の上限が、成長投資枠で240万円、つみたて投資枠で120万円。

総額の保有限度が、成長投資枠で1,200万円、

2種類の枠を合わせて1,800万円になっています。


 NISAについて、金融庁がホームページで広報をしています。 → リンク

 下の画像は、2種類の枠を説明している部分になります。




 では、NISA口座を持っている人が亡くなると、どうなるのでしょうか。

 非課税の恩恵は、口座の名義人のみに適用されるため、

名義人が亡くなった時点で、非課税口座としての運用は終了します。

 NISA口座そのものを相続できるわけではなく、

あくまで、口座内の株式や投資信託が相続の対象になるわけです。


 その相続手続きとしては、多くの場合、遺産分割協議として、

どの相続人が株式や投資信託を引き継ぐか、相続人全員の合意により決めて、

証券会社や銀行などに様々な書類を提出します。

 亡くなった人の全財産を対象に協議をしても、

株式や投資信託だけを個別に協議しても、手続きとしては構いません。

 遺言が残されている場合は、遺言で取得するとされた人へ引き継がれます。


 株式や投資信託を亡くなった人の口座から実際に移管するには、

相続人などが自分自身の証券総合口座や投資信託口座を持つ必要がありますが、

その移管先は原則、同一の金融機関(証券会社や銀行など)となります。

 そのため、亡くなった人のNISA口座があった金融機関に

相続人などが口座を持っていなければ、

その金融機関に新規で口座を開設しなければならず、

その手続きに何週間も要してしまうことがあります。

 また、相続人などがすでに自身のNISA口座を持っていても、

そこへの移管はできず、一般口座または特定口座へ移管されるため、

非課税の状態を継続することはできません。


 このようにして、口座内の株式や投資信託が相続人などに移管されます。

 必要な書類については、証券会社や銀行などからの個別の指示に従います。

 銀行などの金融機関によっては、相続手続きの中で、対象の株式や投資信託を

売却してしまい、払戻金を複数の相続人に分配できることもあります。



 さて、先に述べたとおり、NISA口座を持っていた人が

亡くなった時点で非課税が終了することから、

株式や投資信託の値上がり益や配当金が亡くなった日よりも後に発生すると、

所得税と住民税の課税対象になります。

 そして、値上がり益を計算するに当たっては、相続などで取得した人が

該当の株式や投資信託を亡くなった日の時価で取得したものとみなされます。

 一方、もとから課税される通常の株式や投資信託では、

相続で取得しても、亡くなった人が以前に取得した価額が使われます。


 譲渡所得の課税対象になる値上がり益について、計算例を挙げてみます。

・ 50万円で株式を購入して、NISA口座に預け入れる。

・ この人が亡くなり、当該株式のその日の時価は70万円。

・ 当該株式を取得した相続人が、後に100万円で売却する。

→ 100万円ー70万円(取得価額)=30万円(値上がり益)

 → 相続人自身の所得税と住民税の課税対象

* 20万円(=70万円ー50万円)の値上がり益は非課税


 これに対して、NISA口座内の株式や投資信託であっても、

相続税が非課税になるわけではありません。

 相続税の算出では、預貯金や不動産など他の相続財産と合算され、

評価額は通常の株式や投資信託と同じく、亡くなった日の時価が使われます。

* 上場商品では、亡くなった月や前月、前々月の平均額との調整もあります。



 ここで、NISAではありませんが、

ファンドラップやラップ口座と相続の関係も簡単に紹介します。

 証券会社や銀行などの金融機関に対して、預けた資産の運用を一任するときに

利用するのがファンドラップやラップ口座であり、

費用はかかりますが、運用を専門家に任せることができます。

 詳細は金融機関によっても選択するサービスによっても異なります。


 この利用者が亡くなると、多くの金融機関では原則として、

運用を終了して、資産を売却・換金する取決めになっています。

 この場合、相続人などは、現金や預り金を受け取ることになります。

 そして、値上がり益が出た場合、

もとは特定口座であっても、源泉徴収がなされないため、

相続人などが自分自身の所得税の確定申告をする必要が出てきます。

 実際には、利用者が亡くなった報告を金融機関が受けてから、

売却・換金の手続きが実施され、

遺産分割協議または遺言で受け取る人が確定した後、

解約金とともに、確定申告用の資料を受け取ります。


 なお、株式や投資信託に課される税金の個別計算については、

税理士または税務署へのご相談をお願いします。

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