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税金面の年収の壁、令和8年版 ~所得税の控除額は昨年より拡大~

執筆者の写真: 真本 就平
真本 就平
5月14日
読了時間: 4分

 令和8年3月31日に、国会で税制度を改正する法案が成立しました。

 その中には、「年収の壁」と税金計算上の控除額に関する内容が含まれており、

昨年の令和7年に続いて、改正が実施されます。


 「年収の壁」とは、夫婦のうち稼ぎが少ない方が働きに出る場合を主な対象に、

これ以上働くと税金などの負担に影響が出る限界のことを指します。

 このうち税金面について、令和7年の改正について、

このブログでも説明したことがあります。 → リンク



 国に支払う所得税について、令和8年及び翌9年は、年間の給与収入が

178万円を超えると、超えた分に対して課税がなされます。

 この178万円については、次の2つの合計額になっています。

・基礎控除 = すべての人が対象になる控除

  104万円 (←前年は95万円)

・給与所得控除 = 給与収入限定の控除

   74万円 (←前年は65万円)


 この2つの控除は、課税対象となる最低限度を決めるだけでなく、

課税される人の税額の計算で収入や所得から差し引く金額も決めるため、

控除額の拡大は、中所得者にも広く影響することになります。

 そして、物価が上昇している現状では、定額の控除の実質的な価値が減少し、

税負担が増加するという課題に対応するため、令和8年の改正では、

物価上昇に連動して最低保障額を引き上げる仕組みが導入されます。


 先に、「給与所得控除」の改正を挙げると、

年間の給与収入が220万円までなら、控除額が一律の74万円になりますが、

220万円以上の人は、控除額は以前と変わりません。

 この給与所得控除額の最低保障額が9万円増えた内訳は2種類あり、

片方は、2年おきに消費者物価指数連動して引き上げる仕組みによるもので、

令和8年及び翌9年は、4万円引き上げられます。

 もう一方は、令和8年及び翌9年の2年間限定措置として、

さらに5万円引き上げるものになります。


 そして、「基礎控除」の改正についても、内訳は2種類あります。

 一つは、2年おきに消費者物価指数連動して引き上げる仕組みによるもので、

高所得者を除き、58万円から62万円に引き上げられます。(4万円増加


 もう1つが、令和8年及び翌9年の2年間限定措置として、

中低所得者に配慮する観点から、さらに控除額が加わえられます。

・ 年間給与収入が665万円余り以下

 (給与所得控除を反映した「合計所得金額」では、489万円以下)

  → 42万円  (62万円と合わせて104万円) 

・ 年間給与収入が665万円余り超850万円以下

 (「合計所得金額」では、489万円超655万円以下)

  →  5万円  (62万円と合わせて 67万円) 


 下の画像の左側もご覧ください。



 さて、稼ぎにかかる税金には、地方自治体に支払う住民税もあります。

 非課税限度になる「壁」は、これまでたいていの自治体で110万円でしたが、

これからは9万円増えて、119万円に設定されるのがたいていとなります。

 もっとも、住民税は前年の収入を基に計算されることから、

この改正は、令和8年の収入を基にする令和9年度の住民税から適用されます。


 控除について、給与所得控除は所得税と共通で、最低額が74万円になりますが、

基礎控除は以前と変わらず、43万円のままです。

 そのため、令和8年に所得税がかからなかったのに、

翌9年度の住民税は課税される人が、ますます多くなると見込まれます。



 所得税も住民税も、稼ぎが無いあるいは少ない家族を扶養していると、

稼ぎの多い人が別の控除を受けられます。

 この控除を受けられるように、稼ぎの少ない側が働く時間を調整することも、

「年収の壁」の一種だと、とらえられています。


 生計が同一の結婚相手や親族がいる場合、

その人の年間収入(正確には「合計所得金額」)の金額によって、

控除の対象になるかどうかや、控除の額が決められます。

 このうち、「扶養控除」と「配偶者控除」については、

適用対象となる基準額の要件が、以前よりも4万円引き上がります。

(合計所得金額で、58万円以下→62万円以下)

 また、収入が給与である人の基準額(合計所得金額)を算出するに当たり、

本人に課税される場合と同様に、給与所得控除が適用されるため、

給与収入で考えた基準としては、さらに9万円引き上がることになります。



 以上の改正のうち所得税については、令和8年12月の年末調整から

反映されることになります。

 なお、所得税と住民税に関する個別の税務相談は、

課税元の行政機関または税理士にお願いします。


 ここまでで紹介したのは、税金面の「年収の壁」や控除の改正であり、

他方、社会保険面の「年収の壁」は、別の仕組みが設けてられており、

過去のブログで紹介したことがあります。 → リンク

 このうち、いわゆる「106万円の壁」については、

最近の最低賃金から考えると、週20時間以上働く人は、

実質的に「壁」を超えてしまうこともあり、

今年秋に制度としても撤廃される可能性が高いです。

 こうしたことから、所得税における「壁」よりも、

社会保険面で扶養から外れるかどうかの「130万円の壁」

(大学生世代は現在、150万円)の重要性が増しているように感じます。


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